柳と風(Willow and Wind)

99年のイラン映画。アッバス・キアロスタミ脚本, モハマド・アレ・タレビ監督。日本では翌年に公開された。DVDもある。

一年中雨が降り続く村イラン北部の村に住む少年クーチェキは誤って学校の窓ガラスを割ってしまう。学校の先生からは窓ガラスを元に戻すまで授業を受けさせないと言われるが、父親にそんなお金の余裕はない。やがてなんとかお金を工面してガラスを買いに行くクーチェキだったが……。


数あるイラン映画の中で、これはもっとも愛すべき一編。豊かな自然の描写がなによりすばらしく、見ているだけで嬉しい。しかもその自然と、少年の心理がリンクしており、観客は少年になりきって彼の不安やつらさを共有することになる。ごくごく単純でいわば原始的な感情、それを観客のうちに生き生きと体験させることができる実に希有な映画だ。埋もれた傑作。

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